徒然。

備忘録

プロメア2回目ネタバレあり雑記

推敲してないし読み返してないし書きながら考えてるのでごちゃごちゃです。ただの自分用メモです。


1回目見たときは「ふたり」の話だと思った。
ガロとリオが歩み寄ってわかりあって、プロメアという宇宙生命体が還っていく話なのだと。
一緒に行った子が私は「ふたり」の話だと思ってみていた、と言っていたのもあるけど。

クレイは果てしない野望の持ち主で、自分の野望のために(私には救世主になる、が野望に見えたし、ガロも野望と呼んでたから)他人を犠牲にする、悪人ではないが善人でもない、好きになれない人物に映った。(これは2回目だった友人の感想を聞いて2回目を見たら印象が変わってくるので後述。)
たとえ燃え尽きる星だとしても、それを早めて、しかもバーニッシュの命を燃料に人を助けるなんて、救世主と言えるのか?と。
救われる人もいる以上、極悪人ともいいきれず、なかなかにモヤモヤする人物だな、と。
ドラマ「インハンド」で、「未来のために多少の犠牲は仕方ない」とウィルスをばら蒔き、ひとつの村を封鎖するまでに追い込んだ科学者に別の科学者(主人公)が「未来とは今日、明日の積み重ね、今日、明日生きる人間を救えない科学者が未来を救えるはずがない」というようなことを言って諭すシーンがあったのだが、それを思い出した。


2回目に見たときに、クレイはバーニッシュを苦しめると地球の終焉が早まることを知っていたことに気付き、尚更、明日も知れぬ実験は未来のためなのか?と思った。
確かに今か半年後かの違いかもしれないが、ギリギリまで足掻けばなにかあったのかもしれないのに、と。
でも、1回目は「野望」だと思ったクレイの思想、理想、計画は果たして自分勝手なだけの野望なのか?はわからなくなってしまった。
3回目の友人は彼が救いたいもののなかに自分はいないんだよ、と言っていたけれど、私はむしろ、救われたいように思えてしまった。
クレイはバーニッシュを憎んでいるのだろう。
そしてバーニッシュである自分も。
隠し果せて、制御しきれているけれど、その力が暴走した結果を知っているから、みずからを許せないし、制御しきれているから、できない奴等も許せない。
そういう、自縄自縛の雁字搦めな人間に見えた。
だから救世主になる、という野望はバーニッシュという存在を根絶やしにした上、更にバーニッシュのいない世界に行くことで、みずからを救いたいようにも見えた。
人々に救世主と言われれば、救世主になれる気になっていたのではないか。それはもしかして、無意識で救われたかったのではないか、と思った。
完全に制御しているから、自分は(制御できない)バーニッシュとは違うから、だから異常ではない、と思いたいのではなかったか。思おうとしたのではなかったか。
何がなんでも、バーニッシュを、バーニッシュとしての自分を、許さないし認めないし消し去りたいと思っていたのではないか。
もしかしたら、バーニッシュを苦しめて爆発(噴火)させれば、プロメアが消えてバーニッシュではなくなるとさえ思ったのではないか。
クレイの心情は、ほとんど描かれていない。
クレイの台詞が、どこまで真実かもわからない。隠すのがうまかった人だから。
この辺りは深く考察してる方がいらっしゃったので、ここでは「我々はクレイ・フォーサイトという人間の心情を捉える手立てを与えられていない」と述べるに留めるが、与えられていないからこそ、底知れない闇に、思いを馳せてしまうのでした。一旦終わり。


クレイとガロの関係について
クレイにとってガロは、自らの力の暴走の証拠であり、つまりは罪の象徴なのだと思う。
目障りだったと激昂していたけど、そんなに死んでほしければ、クレイ・フォーサイトなら暗殺だってできたはずだろう。人知れずバーニッシュを捕らえては人体実験してるわけだし。
それをしなかったのは、罪滅ぼしのつもりであり、純粋にまっすぐに敬愛を向けてくれる無垢な魂が、救いでもあったからなのではないだろうか。
これは私の宗教観に多分に影響されるところなのだが、罪悪感を抱かない人間は「完全な犯罪者」でいられる。
「完全な犯罪者」を「完全」でなくすのは罪悪感ただひとつで、それは犯罪者が何かを愛しく、大切に、慈しむようになって初めて、生まれるものだと思う。

クレイ・フォーサイトはバーニッシュの炎でじこを起こしたことを隠匿し、なかったことにしてしまった。
誰からも罰せられないのみならず、称えられすらしてしまう。まともな精神では罪悪感に堪えられないはずだろう。
だから罪悪感も炎も何もかもを意思の力で捩じ伏せて、司政官として登り詰めて、バーニッシュを弾圧していたのではないか。
閑話休題
神様は救いであり、罰を与える存在でもあると思っているので、クレイ・フォーサイトにとってのガロは無意識下の神様だったのだと思う。
そして人が自立するには神殺しをする必要がある。
クレイ・フォーサイトが救世主になるためには、みずからを救うためには、ガロ・ティモスは邪魔だった。計画を邪魔するという点だけでなく、罪悪感を抱かせるという点で。
クレイ・フォーサイトは人類を救うために1万人を選別し、それ以外を見捨てるという決断を、覚悟をもってしている。
でもその前に、ちゃんと地球の噴火を止めることも考えている。(絶対零度なんとかのとこでちらっと言ってた、地殻まで届かなかったってやつ。だから野望の人ってだけではないのだろうな、と思ったシーンのひとつです。閑話休題)
非選別民を見捨てる、ということは少なからず、見殺しにした、という十字架を背負うことになる。
非選別民のみならず、バーニッシュも。
バーニッシュに関しては、前述のように罪悪感がないどころか憎しみ殺意があったと考えられるけれど、それでも命を奪っているのには変わらない。
罪悪感を抱かずにいられる人間として、救世主になる覚悟のあるクレイ・フォーサイトの前に立ちはだかるのは、神様であるガロ・ティモス。
結局クレイはガロを倒せないけれど、ガロはクレイを「救う」と言う。
バーニッシュを苦しめ、地球の崩壊を是としたクレイを、罰するではなく、倒すでもなく(殴り倒してはいたけど)「救う」と。
クレイが本当は傷つき苦しんでいたのだと、ガロは頭ではなく、理性ではなく、心で、魂で感じたのではないか。
だから私は、クレイにとってガロは神様だったと思うのだ。
罪の証として、存在そのものが罰を与える。まっすぐに慕ってくる曇りのない信頼も、秘密を抱えたクレイには重荷にもなる。それと同時に、その信頼に、笑顔に、救われていたのではないか。救われていてほしい。



ガロ・ティモスとリオ・フォーティア
バカでまっすぐな人間は、いつだって、理屈じゃなくて感情で動く。
バーニッシュでもメシを食うんだな、と化け物扱いをしても、バーニッシュも人間だと言われれば素直に謝れる。
傷ついた心を感じられるから、間違えたと思ったらすぐに謝る。
間違ったこと曲がったことが許せないから、放火をするバーニッシュが許せなかっただけで、同じように、バーニッシュが焼いたピザを気持ち悪いという市民にもムシャクシャするのだ。
単純明快、直情径行、バカでまっすぐな人間は、時に、というか得てして頭でっかちな理屈屋よりもずっと簡単に解決策を見つけてしまえるのが物語の常だ。
殺さないという誇りを忘れ怒り狂うリオを止めたのは、バーニッシュが許せないからでも放火を許せないからでもなく、人殺しを許せないからだろう。
洞窟のシーンを経て、クレイの真意を見て、ガロは信じるものをなくして絶望してもおかしくなかった。
にも拘らず、火事を、泣いているように見えたリオを、止めるために走る。
きっと理屈じゃなくて、止めなきゃいけないと思ったから。殺させないために。火を消すために。
真実を知れば、バーニッシュだからと捕まえることもできないし、二人でクレイを止めることにもためらわない。
典型的な光属性主人公。
もうひとりの主人公、リオも、バーニッシュのボスとして冷静に見えて、ガロのおねだり(やる気が~)をあっさり呑んで(しかもガロが甘ったれてる感じなのにも怒りも、気付きもせず)いるあたり、純粋というか、世間知らずというか、ちょっとバカなんだと思う。可愛い。推せる。
いいコンビだったし、リオには初めての対等な相手なのかと思うと微笑ましかった。



で、私は主人公が誰かを、というか相方を救い救われるタイプの「ふたり」の話が好きなんですけど、プロメアにおいてはガロとリオは全然救ってないと思ってて、というか見れば見るほど、考えれば考えるほど(ゆーて2回だけど)ふたりの話でもないと思い始めてて。

そしたらなんか燃えてるのを知ったんですけど、プロメアって差別や共存がテーマなんですね!?
めちゃくちゃびっくりしました。思わず敬語になっちゃったくらい。
問題点は造詣の深い方の指摘に任せるとして、私としては差別要素薄すぎるでしょ、とだけ言っておきたいですね…

ただ、プロメアが意思を持つ生命体である以上、彼等が消えることをアイデンティティの喪失というのも違うかな、とは思いました。
マイノリティがマジョリティになって大団円、がおかしいというのはわかるけど、プロメアにも意志があるし…
まあそれならそれでその意思をもっと前面に出してほしいとか、思うところは色々あるけど。
纏められないのでこの辺にします。

来週3回目行きます。
また新たな発見、感想が出ればいいなー






7/17追い雑記
そういえば、ガロ・ティモスにとっても親代わりのクレイ・フォーサイトは神様なのでそれを越えて初めて一人前ってことなのでは?


あとバーニッシュはプロメアの依代って前に思ってたんだけど、巫女さんとか古くは(神聖視があったとしても)差別されてたしそういう描き方だったらまた違ったのかなーと思った。