徒然。

備忘録

一穂ミチ『光のところにいてね』感想

めちゃくちゃ泣いた………………

タイトルが神性の押し付けっぽくて惹かれて、帯のあらすじ読んだらガールミーツガールっぽくて俄然気になり、立ち読みして購入決定。

一穂先生は元々BLで読んでいて、特にmeet,againとかさよなら一顆が好き。

痛くて切なくてしんみり温かいお話を書く方だなあと思っているのだけど、この作品もそんな感じだった。

 

小学生の頃、お互いに名前しかわからないまま遊んだこと。初めて会ったときから惹かれあっていたこと。そのままなにも言わず離ればなれになってしまって、果遠が結珠に会うために頑張って勉強して高校受験したこと。すぐにまた離ればなれになってしまったこと。お互い結婚してから、偶然再会したこと。

いろんな出来事が、二人の視点で交互に進んでいて、お互いがお互いを大事で、自分とは違う綺麗なものだと思っていて、どうしようもなく焦がれていて、手を伸ばしたくて伸ばせなくて、傷ついていて、救われていて、相反するような感情が、絡み合うように物語が進んでいって、最後このまま終わりかと思ったら、今度はちゃんと、追いかけられるようになっていて、大人になるって良いなとか、親の呪いから逃れたんだなとか、そんな風に思えるお話でした。

お互いがお互いに救われるお話、お互いがお互いを自分とは違う綺麗なものと思っているお話が大好きなので、本当に好きでした。

チサさんも藤野さんも水人さんも、他の登場人物もみんな素敵な人達で、海の描写も綺麗で、心を洗われるような感じ。

でもずっと雨が叩きつけるような不協和音や、漣が立つような不穏さや、波に揺蕩うような心許なさや、大波に呑まれて体をバラバラにされそうな痛さもあった。

しんどいところもあったけど、本当に、とても好きなお話だった。

「光のところにいてね」あなたは綺麗なままでいてね、暖かいところにいてね、ひとりにならないで、幸せになって、

わたしのいないところで。

という意味で、やっぱり神性の押し付けだったけれど、最後に光がぐんぐん力を増して追いかけていくの、たまらなく良かった。

旦那さんには、悪いけど、二人で、ずっとずっと惹かれあっていた二人で、幸せになってほしいよ。

でもできれば、勝手かもしれないけど、旦那さんとも、子どもとも、弟とも、たまには会って、元気?とか、最近どう?とか、ちょっとした愚痴とか、言い合えるようになってくれたらいいなあ、と思う。

光のところにいてね。

幸せになって、二人で。今度こそ。