徒然。

備忘録

悪童会議ミュージカル夜曲

2024年5月5日(日)

センブロ中央後ろ寄り全体が見えてよかった。

火が着いたら屋根が崩れ落ちてきたり壁が倒れたりしてびっくりしたし、最後にまた玄関ポーチが倒れたのもびっくりした。屋台崩しあるの派手で楽しいな。肩跳ねたけど。ポーチが鳥居になっていたの、封印されている感じてよかったですね。

 

放火魔が火をつけて武士が甦ることしか知らなかったので結末が全然予想できなかったんだけど、副題の「放火魔ツトムのやさしい夜」が納得の結末だった。一部は思ったよりコミカルで、二部で全部分かるのミステリっぽくて面白かったな。

糸川さん、2月バスケのときはキラキラのバスケットボールスターだったのに今回ガラッと変わっておどおどしてるし髪もペタッとしててあまり身嗜み気を遣ってなさそうだし、放火の話になると早口で捲し立てるし、いい感じに気持ち悪くてそりゃ新聞勧誘上手く行かないよ…の説得力がすごかったな。

ツトム、十五に人殺しは良くないと言ったり、放火もやめたいのにやめられないって言ってたのが、根は優しいというか、気弱で普通の青年が、それでも日々の鬱屈の昇華のために火をつけているというキャラ造形なのが良かった。上手く行かないことへのやるせなさや苛立ちを、攻撃性として表出してしまうことは人間往々にしてあるし、そういう動機の部分に共感できてしまう造形じゃなかったら過去の人達の話に集中しきれなかったかも。この発言するなら死者は出してないんじゃないかと思うし、放火は人のいないところを狙っていたのかな。保育園も廃園だったわけだし。

最初は火を放つときサヨちゃんがいつもいるって言ってたからてっきりサヨちゃんが悪霊でツトムは操られているのかと思っていたんだけど、出てきたサヨちゃんが元気で無邪気で可愛くて、でもやっぱりなんかこの子おかしいな、と思う発言をしていたから一部の半ばくらいまでは放火示唆を疑っていた。

サヨちゃんのこと少女と言うからには幼稚園~小学生くらいのつもりで見ていたから、そんな時間に子どもが一人で出歩くはずないし、長い間放置されている保育園を思い出の場所なの、って言うのもサヨちゃんの今の年齢的には矛盾するよな、と思っていたので、設定としては何歳くらいの見た目なのか気になる…

1300年頃に生きてたとしたら元服裳着が10代前半かつシロウと情を交わしていそうとなると案外中学生~高校生の想定なのかもなあ…

千代姫が黒百合を覚えていない様子なのがめちゃ違和感あって、休憩直前でサヨちゃんがいなくなってたし、やっぱりキーパーソンはサヨちゃんなんだな、多分すり代わっているんだろうなあ、昔は双子は凶兆だから養子に出された生き別れとか?と思っていたら血縁はなくただの身代わりの田舎の娘だった、惜しい。

十五や乳母や黒百合が見ればわかったのでは?と思ったのだけれど、黒百合とは多分現世で顔を合わせていないよね。十五にはコーラ渡していたはずなのに気づかれていなさそうなのが不思議なのだけど、サヨちゃんだけはタイムスリップじゃなくて幽霊だと思うので見えてなかったのか、突然目覚めてパニクってたし、サヨちゃん服も現代だし、髪も短かったから気付かなかったのかな?そういえばサヨちゃんの服も現代なの気になるな~生まれ変わり?

 

玉野緒があっさり退却したのが一番びっくりした…岡様が八犬伝でいうところの玉梓って言ってたのもありラスボスなのかと思ってた。黒百合は今女になってるって言われてたり交わりで注がれたって言ってたのに玉野緒は「抱いとくれ」って言ったのが気になってるけど、玉×百合で良いんだろうか…としょうもないことを考えてしまった。元の力は玉野緒なわけで、いくら黒百合に術が効かなくても負けるほどなのか?また戻ってくるのでは?と思ってたから最後まで戻ってこなくてびっくりした。封印の札みたいなの貼られてたから白百が退治した形なんだっけ…うろ覚えだ…ところでなんで虎清を殺せって言ってたんだろう?

 

虎清、純粋で清らかで優しくて人の心の機微に聡い子だと思ったな。玉野緒と黒百合のやりとりの時点で騙されてるとわかったはずなのに、それでも黒百合のこと信じていたのも、十五に苛められて親子に裏で散々バカにされていたのを知っていてもなお許すよって言えるのも、すごい。剣技ができないとか泣き虫とかは本当なのだろうけど、でも親子が思うよりはずっと聡い子だったんだろうな…今際の際までずっと黒百合を探していたの、騙されたバカな男じゃなくて純粋に黒百合を愛していたんだなあと思ったよ。いやまあバカかもしれないけど、というか白拍子に惚れるとかバカなんだけど、国主としては。でも恋とはバカであることって誰かも言ってたしな。そもそも国主になりたくない訳だし、国主に相応しくないと思うなら裏でバカにしてる十五がやればいいと思ってるんだから、早く見限ってくれ、もあったのかなあ…

シロウもかつての主君ということもだけれど、それ以上にずっと大切にしてくれたから殺すに殺せなかったのだろうし、最期まで黒百合を探す彼を哀れに思ったから黒百合として声をかけてあげたのだろうな…

 

黒百合あまりにも歌もうまいし女声と男声の使い分けすごくて何者?!と思っていたら宝塚のご出身と聞いてめちゃくちゃ納得した。道理で聞き覚えのある発声…

虎清を思えばこそ、と身を引こうとするの、追い縋らせる手管にも、本当に思っているようにも見えるのがめちゃくちゃズルい。あざとさが皆無なので手管には見えなかったけれど、疑って見ていればそういう健気なふりで気を惹こうとしているようにも見える。うまい。本心で言ってるのか、本心で言っているように見せているのかすら読めなかった、どちらにも取れてしまうから最後まで本当にわからなくて悩んだし、今も正直わからないけど、死に行く虎清の前で黒百合になってあげたあたり、本当に身を引こうとしていたのかなと思う。主君として仕えた相手だし、別に殺す理由もなさそうだし…いや戦で命を落としてるから無能な主君め、という恨みがあってもおかしくはないのだけれど、だったら躊躇わず殺せるだろうから。何故殺せと命令されていたのか語られていなかったの気がするけど、どうだっけ…

本心から身を引いた場合玉野緒のことはどうするつもりだったんだろう、という気はするけど、向こうから離れたとか、近寄れなくなったとか、術が効かなくなってたなら端から玉野緒と戦う覚悟だったかもね。

 

ところで玉野緒たちは眠らずに700年生きていたのかと思っていたのだけど、「あの物語が再び息を吹き返す」というサイトの文言を踏まえると既に一度700年前に同じ結末を辿っていて、今回サヨちゃんもとい本物の千代姫がシロウに会えたことで物語が閉じた、ということなのかな。いやでも白百は眠ってなさそうだったな…深く考えない方がいいやつかなファンタジーということで…

 

十五と乳母、若君に振り回されて大変な家臣かと思ったら急に豹変してびっっっくりした…前半めちゃくちゃ面白かった肝っ玉母ちゃんみたいな乳母が豹変したの怖かった…そりゃまあ仕える主君が剣技も弱くて女に現を抜かし国を顧みなければ腹も立つだろうけど、子どもの頃から親子揃ってバカにしてって相当性格悪くないか?しかも本人にバレてるし…そんななら主君を捨てるなり、先代が亡くなるときにでも国を乗っ取るなりすれば良いのに、国を譲ると言われてもほしければ自分で勝ち取るって断っていたから、本気で国を憂い主君を諌める良き従者だと思ってたよ…虎清もあんな二面性のある親子見てたらそりゃ嫌になっちゃうよな…

 

立花さん武士めちゃくちゃお似合いだったし、前半のコミカルなキャラからの後半の容赦ないいくさびとの切り替えのギャップよかったな。あの姿での喫煙シーンテンション上がってしまった。火をつけてもらうの似合うね、ヤクザの偉い人役もやらんか?マツリバヤシ組若頭補佐とか()

ツトムに頼むから火をつけてくれるな、というところ好きだったなあ。主君のことをバカにしつつそれでも主君だとギリギリで耐えているのが伺えて、でも結局黒百合を庇った主君を手にかけてしまって、そこからはもう箍が外れてどんどん躊躇わずに斬っていくの、乳兄弟てまあり仕えるべき主君という思いとこんな奴という蔑みで葛藤してたのが傾いてしまったのがわかって良い。

 

サヨちゃんが最後シロウと会えてよかったけど、もっと早く出ていっていればみんな死ななかったのでは…?とは思ってしまった。でもみんなが死ななかった場合物語が閉じられないのだろうな…これがサヨちゃんの物語なら、サヨちゃんがシロウに会えたことでハッピーエンドだね、これからは二人で幸せになってくれ…

ツトムが火をつけたことで始まった物語が、ツトムが火をつけることで閉じるの綺麗な終わりで好きでした…考えてみればみんな元の時代に帰るかまた眠りにつくのか、くらいしかないとはいえ、全員死ぬとは思ってなかったのでびっくりしたけど、納得の終わりかつ納得の副題だった。

多分うろ覚えのところも拾いきれてないところもあるからもう一回見たいなあ…