徒然。

備忘録

剣劇三国志演技

2024年4月5日(金)初日!

1階1桁中央上手

 

お膳いただいて物販行ってギリギリに入場。流れている音楽がなんとなくケリナツスを彷彿とさせる。物語の語りが津田さんということもあり。

ケリナツスのときもそうだったし、キャッテリアもそうなのかなと思ったけど、ところどころモノローグというか語りがピンスポで入るのが末原さんの脚本演出っぽいなと思った。ストーリーテラーの役割なのかな?と思って見ている。

ステから舞台見るようになり刀ミュや歌劇伝と2.5中心に見てきたからかこういうモノローグにあまり慣れてなく、毎回一瞬現実に引き戻されてしまう。メタ視点というか、小説で言う神視点のような気がしているのだけど、なんとなく舞台だと急に放り出された気分になる。

今回は特に孫権の語りが多かったから、孫家を継いだ孫権が後に語った物語だったように思えた。そもそも「ものがたり」なわけだし、そういう見せ方もあるんだなあ、とは思うものの、初回はやっぱり慣れないんだよな…むしろあえてなのかな?あまり演劇のお約束に明るくないのでわからないけれど、モノローグで一旦区切るみたいな文化があったりするのだろうか…まあ演出のクセなのかもわからないし、台詞の感じはクセだろうなあと思ったけど…

 

二回目観劇までに纏まらなさそうだったのでとりあえずキャラごとに好きだったとこだけ。

 

孫策

最初は戦なんて…自分なんて父上には及びません…て感じだったのに、俺より強くなる!(はずだ!)って言われてびっくりしてでもじわ……と嬉しそうにもするのが緊張と驚き、それから父親に認められた喜びのグラデーションを綺麗に表していて、ほんとに細かい表情の演技大好きだなと思った。

将軍になってからはなんとなく様子がおかしい?と思いつつ、でも将軍として振る舞って成長してるなあ、と思っていたら幻覚見ていたのも、荒っぽくなってしまったのもしんどかったな…

返り血が落ちない、といいつつ服脱いでたから、あ~~PTSDだ…兵士がなるやつだ…生存者の罪悪感だ…と内心でめちゃくちゃ呻いた。こういうところが結構現代的で生々しくて重い…

正直、開始数分で現実に今戦争をしている国があるのに、と思ってしまって戦いのお話見るの思いの外しんどいかも、と怯んだ。劉表様が戦よりも畑、収穫って生活に寄り添う方だったのにめちゃくちゃ救われたけれど。

このシーンだったり、韓当が戦争を終わらせるために戦争をしているって言うところだったり(まあ正直ここについては詭弁だと思うけれど、兵士としてはそう思っていないとやってられないところもあるだろうな…)、随所に戦争反対のメッセージが織り込まれていて、その点は安心して見ていられた。ケリナツスで優しいお話を書く方だなと思ったのでその辺りは心配してなかったとはいえ、私があんまり身構えてなかったこともありちょっと怯んだので早めに安心させてもらえる脚本だったのはめちゃくちゃ助かった。

 

目の前で尊敬して敬愛して畏怖していた父上が殺されて、最期の言葉も思い出せなくて、逃げろってずっと案じてくれていたのにそれも忘れてしまった孫策しんどかったな。泣き虫だったのは孫策のほうで、でも周瑜と出会ってから、周瑜がいるから頑張っちゃう、っていうのが人のために強くあろうとしていた孫策の優しさであり脆さだったんだなと思った。そりゃ呪われもするし、自分を追い込んで、仇を討たなきゃと無茶な単独行動に出てしまうよな…もっと早くに正気に戻せていたら、と思わざるを得ないけど、将軍になり隠すのが上手くなってしまったのだろうし多分周瑜ももう対等というよりは仕える主人として見ていたからその辺の見極めもできなくなってしまったのかなあ…周瑜自身もあまり余裕無かったんだろうし…

最後は正気に戻るけど、それと引き換えに死んだようなものでもあるので、あそこで悪霊から逃げて手当てを優先することはできなかったのかと思ってしまった。

三国志未履修だったこともあり、正直死ぬと思っていなくて、あれで正気に戻って国を治めて俺達の戦いはこれからだ!で終わるだろうくらいに気軽に見てたので、エッ死ぬんだ??そりゃ死ぬか戦国時代だもんな??あの傷じゃあな??マジか~……と変なところで変な形で拍子抜けしてしまった。原典を知らないばっかりに……………………

正直孫策が死ぬと思ってなかったから、周瑜が悪霊が怖いって言うところも流石参謀だなあ、くらいで…よく考えたら臨終に相応しく雪が静かに舞い降りていたのになんでか死なないと信じてしまったな…死なないでほしかったんだなあ…

孫権が後を継ぐ儀式のあと、味噌汁用意して孫策周瑜二人きりにする程普あまりにも粋な計らいで泣いちゃう。

ハッとして振り返ったときに、多分事故で杯が落ちちゃったんだけど、なにか気配がした気がして慌てて振り返った、という演出を強めてて良かった。やはり現れてはくれませんか、って寂しそうな周瑜は、それでも現れないことを、自分が幻を作り出せないことをわかっているからこそ寂しいんだろうな…泣き虫だったかもしれないけれど、孫策といて強くなれた周瑜はこの先もちゃんと生きていけそう。周瑜には見えていないけれど、孫策がそばで微笑んでいたのが、この先も見守ってくれていそうでしんみりした。「俺の伯符」には流石にちょっと笑っちゃったけど。嫁さんたち出てこないのもあり結婚してるの忘れそうになったし、度々距離感おかしいし極めつけこれだし、何を見せられてるんだ…?てなった。その台詞周瑜のキャラではなくない?

 

周瑜

だいたい孫策と出てきたせいで孫策に気を取られすぎて細かい記憶があまりないのだけど、孫策が一人で黄祖を倒しに向かったとわかったときもう知らない勝手にしろって「思ってもないこと」を喚き散らすの、確かに頭は切れたのだろうけれど、動揺や恐怖や不安を怒りに変えるしかなかったんだろうな、本当に怖かったんだろうな…と思ってしんどかった。間に合ってほしかったな…

悪霊(幻覚)を見ている伯符をどうすることもできずただおろおろして、見えたふりをしてしまうのも、伯符のことが大切すぎたからだし、こんなにも報われないのか、と悲しかったんだけど、最期には一応報われて…生きててほしかったけど、そこは良かったな。

 

太史慈

かっっっっこよすぎないか?????多勢に無勢を悟り部下を逃がすのも、逃がした部下が自分が殺されたら復讐するかもしれないし、そうなったら殺されるであろうこともきっと見越した上で部下たちを説得するから命を助けてほしい、と約束するの、上司としての責任の取り方、腹の据わり方があまりにもかっこよすぎる。そんなん皆ついてくわ。走れ太史慈

部下を纏めるためにも生きて仲間になれと言われてもむしろ怒るの、実直で強情で潔すぎる。でもその潔さは流されることでもあり、どこか自暴自棄の感もあり危うくて…孫権のようにまっすぐに自分を見てくれる子が多分太史慈には必要だったんだと思う。だからこそ稽古つけて戦場で自分のそばを離れるなって言うし目をかけていたのかな。あとは弟いたけど戦で亡くしたりしたのかな…と思ったりした。

普通敵だったなら寝首かかれてもおかしくないのに、双方信頼してる感じがあったの良かったな~~なので最期に孫策太史慈にだけなにも言わなかったのちょっと寂しかったんだけど、とはいえ一介の将と幼少から一緒にいる人間では違うのかな…

 

黄祖

孫堅と対峙したとき?にニヤッと笑うの戦いが好きなんだなと思ったんだけど、仇である袁術の部下だったからだとわかって、しかも結局袁術への復讐を果たせなくて絶望しているのが…哀しくて…復讐なんてなにも生まない、も、でもそれが必要なときもある、も、どちらも見るけど、生まなかったときが虚しすぎて、復讐に捕らわれて生きることは危ういと思った…孫権のこと父と兄を俺に殺されて…と言っていたけれど多分あの子は復讐に捕らわれず、黄祖のことも許してしまう気がする。許しは救いではなく罰なので、おのが罪を背負って、その上で劉表様や民を守ってほしい。戦乱の世のせめてもの大義名分…

 

孫権

葬儀で泣けなくて、でも泣けないことが申し訳ないし、わからないことはわからないままの方がいい、みたいなこと言っててあえて考えることを避けているのが、弱さであり強さだなあと思った。素直で優しい子だったし、太史慈にどうしてみんなはあんたのこと好きなのにあんたは自分のこと嫌いなんだ?って聞くところ大好きだった。自分が死ぬのが怖い、じゃなくて自分が死ぬのが怖いから相手を殺すのも怖い、なのめちゃくちゃ好き。その上で、いざとなったらちゃんと戦い、将として立つことを決断できることも強さだと思う。戦を終わらせるための戦、をする子だ…孫策ができなかったことを…

 

○程普

め~~ちゃ好き、まずビジュがいい。真っ先にビジュの話して申し訳ないんだけど眼鏡インテリとか好きしかない。孫堅の参謀で、孫策を可愛がって育ててきて、孫堅が亡くなって孫策が後を継いで、と思ったら参謀の地位を周瑜に奪われて…それでも最後は周瑜を諭し、粋な心遣いをして去っていくのあまりにもかっこよすぎる。

 

韓当

酒と女の話ばっかしてるけど口調が「策ちゃん」「~じゃない?」と柔らかいのでいやらしさがなくて良い。時代や軍という男社会であることを思えばこういうキャラがいてもおかしくはないのだけど、やっぱり言葉だけを聞くと一瞬モヤ…とはしたので、全体のバランスで嫌なキャラになってないの、キャラ設定が上手くて助かる。韓当が戦を終わらせるために戦ってんじゃないの!?終わらせたいから大殿についてきたんだよ!今の策ちゃんには着いていけない!っていうのめちゃくちゃ好きだった。戦が得意そうで強そうなのに、戦が好きなわけではなくて、強いからこそ、終わらせるために力を使いたい、と思っていたの好き。結局離れられないで残ってくれるのも。

 

黄蓋

熱い。一人だけ素手?で肉弾戦なの、キャラ的にもぴったりだな~と思いながら見ていた。韓当引き止めるとこ好きだったし、どんなときでもまっすぐなのよかったなあ。

二部の前説の黄蓋老害の記憶が強すぎて他すぐ出てこない、申し訳ない…

 

劉表

復讐に逸る黄祖を諫めたり、傷ついた兵士を憂えたり、無益な…必要以上の戦いを拒んだりと、戦いの虚しさを説いてくれる人がいて本当によかった。世が乱れ既に起こっている戦いにおいて戦わないことは蹂躙されることにもなりかねないけれど、勝っている場合においてそちらの立場にならないことを心掛けて、自軍の兵士たちを、民の暮らしをひたすらに案じているの大好きだった。

 

キャラクターがみんないい人というか、敵であっても本当に嫌なやつがいないのとてもストレスフリーで見やすくて良かった。2部の殺陣ショーも含めて、ど真ん中エンタメしてる。楽しいこと好きなことだけが詰め込まれてた。演者はかなりハードそうでしたが…無事に千秋楽まで駆け抜けられますように。