徒然。

備忘録

BOOK OPERA クルム童話「ケリナツス~七匹目の仔山羊~」

12月7日初日

二階席下手

 

セットが可愛い!入った瞬間可愛くてテンション上がった!音楽もアナウンスもワクワクした!開演前後のアナウンスにめちゃくちゃ夢の国を感じて、くるむくんに似合いすぎるな、と思った。

 

狼と七匹の仔山羊がベースでタイトルが「ケリナツス」、擦り付けのアナグラムだし、ウシロメタサという名前があるから罪悪感の話かな~とは思っていたけれど、狼の弟が出てくるとは思っていなかった。

弟が兄を嫌っているようで、それ以上に自分が嫌いなのがもう…真面目に生きてるのに要領が良い兄に比べて、で自分が嫌いになってしまったのだろうけれど、お兄ちゃんは弟が大事なのがすれ違いで悲しい。でもそうは言っても弟もお兄ちゃんのこと心底憎かったわけではなさそうで、すれ違ったまま死別してしまったのが哀しかった。ケーキ落としちゃったときのお兄ちゃん優しくて泣いちゃった。

あんなに優しいのに山羊食べちゃったの?と思ったけど、やりたいときにやりたいことをする!という兄貴だったと聞いて、あ、狼だった、そりゃお腹空いて美味しそうな山羊がいたら食べちゃうか…となった。

 

モノガタリナにも書いてあったけれど、ウシロメタサとジブンギライが似ているようで似ていない、というのが好きだった。

後ろめたいから生きていたくない、自分が嫌いだから生きていたくない、でどちらも生きていたくないけれどちょっと違う。二人で死んじゃおうか、とジブンギライが言うの、刺さる。そういうの大好き。

それでもお前には生きていてほしい、とウシロメタサがエゴを押し付けるのも大好き。自分も生きていたくないくせに、だから死のうとしているくせに、相手には生きててほしいと願ってしまうの、エゴで大好き。

みんな身勝手で、どこかに後ろめたさがあって、だから「ケリナツス」の儀式で罪穢れを祓ったことにする、というエゴイズムと、そのエゴイズムを利用して死のうとするエゴイズムと、そんなものぶち壊して助けたいと思うエゴイズムと、形は違えどエゴでできているのが人間らしくて…

その中でも、最後は自分達で背負って生きていくことを選ぶウシロメタサとジブンギライが、二人で手を取って逃げるの大好きだった。二人ならどこへでも行けるし、背負える。良かった。一人で抱えていたものを、一緒に背負って歩ける相手と出会えるお話とても好き。

二人が1本の水筒から水を分け合うのも、一枚の毛布にくるまって身を寄せあって眠るのも、お互いがお互いを大事にして必要としていて、逃げた先が見られて良かった。

二人で町に辿り着いて、やりたいことをして、イキタガリの話をしながら、長生きしてほしい。めでたしめでたし、で終わる二人の物語があることを信じています。