徒然。

備忘録

うたかたモザイク/一穂ミチ 感想

永遠のアイ

ウイルス、という名の幽霊であってほしい。わたしも生霊として0と1の世界で彼と再会することを願ってやまない。

 

レモンの目

めちゃくちゃに怖い。シンプルに怖い。どちらにせよ怖い。でもやっぱり最初から狙っていそうなのでストーカーの方が怖い。

 

ごしょうばん

なんて皮肉なんだろう。戦が終わって豊かな時代になった分、ごしょうばんにとっては貧しくひもじい時代になってしまった。ごしょうばんが望んでいるのは「本能や命と秤にかけても負けないもの」だったから。有り余るほど食べ物があろうとも、そこにはごしょうばんの食べたいものはなくなってしまった。最高の皮肉だ。

(もちろん戦が良いと言っているのではない。戦や飢餓で死ぬ人間を出さないことと、フードロスを見過ごすことは違うので。この視点でそれを描いているのがすごいし、めちゃくちゃ皮肉で良い。ごしょうばんが生まれないことが、一番良いのだ)

 

Still love me?

温っ…!!!!!!中盤まで気付かなかったしなんなら付き合ってるのかと思ってた…

そんな前かあ、とか、思い出から消える日はない、とか、当時小さかったけどでもあの映像は覚えてるな、とか…しんみりしちゃった。

「好きか?」って聞いて、変わらずにずっと「うん」って返してくれる存在にずっと救われてきたの、めちゃくちゃ良いな…「永遠って、案外簡単やったりして」と「それがいつの間にか高く頑丈になって俺を寄りかからせてくれてる」が呼応している…

 

BL

meet,again思い出していた。半永久的に生きられるのに、相手に思われていないと怖くて生きられないのも、相手にずっと大切にされていたにも関わらず何も気付けないのも良きでした。

情緒の育っていない天才、厄介すぎるね。学生時代日本史の先生が理系の仕事は技術開発、文系の仕事はその技術を正しく使うための法律や社会規範の制定、みたいなことを言っていたのを思い出した。情緒や倫理の担当。ニンの方がそれは得意だったはずで、でもそれをシサクを止めることには使わなかったんだなあ…

タイトルのBLが美しい嘘、なのめちゃくちゃ美しくて最高…

同性愛が許されないところで育って、ずっと側にいたけれど伝えられずに、しかもシサクはずっとAIの人格を好きで…ニンはよくそれをずっと見守ってきたな、と思うとともに、多分、シサクには言っても無駄というか、届かないな、と思っていたのだろうな。情緒が育っていないから。リピカの言うように、心が子供のままだから。わかりきっているから伝えなかっただろうし、だからこそ、心臓が痛んだら、という賭けに出たのがしんどい。寂しくなったと最期に会いに来るのがせめてもの誠意であり、意趣返しでもあったんだろうな。

リピカの「昔好きだった、と、今は好きじゃない、は厳密にはイコールではない」「自分がどうBLを好きだったか忘れてしまいつつある」がめちゃくちゃわかるなあ、と思った。昔はBL好きだったけど今はもうそこまで、なのもあり…もちろん他のことも。

これだけ3回読んだけど、美しい嘘をついていたニンにどうせなら最後まで騙してくれればよかったのにというシサクも、シサクの作った美しい嘘の世界を一人でずっと旅するニンも、切ないな。シサクが一人で、ニンのクローンを作るという誘惑から逃れるように旅に出るの好き。自分の作った美しい嘘の世界をニンと同じように一人で見ながら、旅をして、旅路の果てで、願っていた最後の和音を聞けるといいな。

最後にみんな一人になるのと美しい嘘、がヘキすぎて噛み締めている…ダリアの蟻…

 

sofa

モノ視点良い!一目惚れでソファ買うって良いね。