徒然。

備忘録

ひりひりとひとり観劇感想

「ひりひりとひとり」観劇してきました。

梅津瑞樹さんが出演されるのとタイトルで気になりつつ、2.5次元以外の舞台をあまり見たことがないので見送っていたのですが。
初日に梅津さんが上げてたお写真がめちゃくちゃに好みで、当日券買って行ってきました。
日に日に髪の色が抜けて青紫から茶髪ぽくなってて、それもまた良きでした…

動機だけ書くとめちゃくちゃ顔目当てっぽいしまあそれもなくはないですが、出演発表になったときにあらすじはちゃんと読んで気になっていたので、お顔はだめ押しです。
改めてチケット取る前に読み返して、多分梅津さんは別人格とかだろうと踏んで、そういう役柄がとても似合うしお上手だと思っているので、お顔もあわせたら見ない手はないなと。
観に行って本当に良かったです。


ぴーちゃんのこと
春男の頭の中に住む。見ているもの、考えていることを共有する。たまに出てきて周囲と会話することもできる。
春男が完全に存在を消したときは出てこられなかったが、父親が死に不安定になった春男の頭の中に再び姿を表した。
劇中で「統合」「失調」と言ってたから統合失調かなーと思ったけど、最後に「生まれ変わったら」と言っていたので、他人格であり、幻覚であり、超常現象でもあるような印象でした。
明言はされていなかったし、症状に名前つけるのも「名前があると安心する」だけなので、あんまり重要ではないんだろうけど。

WILD ADAPTERの「世間が勝手にどうカテゴライズしようと俺達はこの世で俺とお前だけの『お前と俺』でいい」が大好きなので、そういう描き方も好きでした。


物語のこと。
「ひとり」という単語に惹かれがちなのですが、その言葉になにを思うかは人それぞれですよね。寂しいと思う人もいれば、落ち着く人もいるし、惨めだと思う人もいれば、幸せな人もいる。その時々の状況にもよるし。

物語のなかで、「ひとりっきりの寂しさは変わらなくても、つながると、ちょっとあったかくなる」という台詞があって、人間はどうしようもなく「ひとり」であることを肯定したうえで、それでも繋がれるよ、と言ってくれるのが優しくてとても好きでした。
「ひとりじゃない」はしんどいときには届きづらいし、しんどくなくてもまあまあ綺麗事だなと思ってしまうけど、まず「ひとり」であることを認めてくれるの良い。物語でしか救われない人間を置いていかないお話だなあと思った。


「ふつう」にできない焦燥感とか、悲しいと思ってしまう悔しさとか、許してあげられなかった後悔や、見捨ててしまった罪悪感もあって、ずっとひりひりしていたんだろうな。
本当にずっとひりひりしていて、見てるこっちも息が詰まりそうだった。
それが音と繋がって、歌ならどもらずに言葉にできると歌ったことで、周囲と繋がれて、だんだんとぴーちゃんと西郷さんの声が聞こえなくなっていく。
二人は確かにまだそこに在るけれど、でもそれはそれとしてちゃんと前を向いて生きていくみたいだなと思った。
ぴーちゃんが「生まれ変わったら」と言うのも、春男が周囲との関係で落ち着いていくのを見ていて、悪くないと思えたからだろうな。

意識を内側に向けているとどんどん深みにハマってずぶずぶと沈んでいくけど、外に向けることで内なる声に耳を塞いで、周囲の音や光で満たせば生きやすくなるの、真理って感じ。
それができるかどうかは、まあその時々の状態や、周囲の状況にもよるけれど、物語においてはこれくらい優しいの良い。

夏子さんが扉を開けるところで舞台でも泣いたし、台本読んでても泣いた。
本当にクライマックスで号泣した。



うまく言葉にできないんだけど、本当に刺さったお話だった。めちゃくちゃ良かった。
梅津さんの役柄も演技もビジュアルも最高だった。あのビジュアルのブロマイドもほしいよ……